経済産業省の「2050年カーボンニュートラルに向けた若手有識者研究会」は12月19日、水素関連プロジェクトの促進に向けて、民間投資家が固定収益を得られるスキームを提案した。
水素は、脱炭素化に貢献するだけでなく、日本の産業競争力強化に資する重要分野と位置づけられている。しかし現時点での需要は限定的で、既存燃料に比べて供給コストが高く、収益の安定確保が課題だ。研究会はこうした課題を克服するべく、公的運用機関を介した政府保証に基づく固定収益スキームを提案した。これによって、事業全体の収益性を向上させる。
このスキームでは、投資家や銀行、自治体などから出融資を受けた資産会社が水素インフラを保有し、自治体などの公的運用機関に運用を委託する。公的運用機関は水素の利用者からの料金を原資として、資産会社に運用委託料を支払う。委託料が不足する場合は、政府が保証して収益を固定する。対象インフラとして、港湾設備、貯蔵設備、パイプライン、ローリー、輸送基地、輸送船などを例示した。
研究会は、水素製造用電力の直接買付制度も提案した。水素製造事業者が、系統を介さない再生可能エネルギー由来の電力を、長期的に固定価格で調達する構想だ。これによって収益の予測ができ、安価な水素製造が可能となる。