名古屋・東桜街区でスマートシティのISO37106を取得、NTTアーバンソリューションズ

NTTアーバンソリューションズは、名古屋市東区東桜一丁目エリアにおける、アーバンネット名古屋ネクスタビル、アーバンネット名古屋ビル、商業施設Blossaの一帯(東桜街区)を対象に2022年1月、日本初認証となるスマートシティ運用モデルに関する国際規格である「ISO37106」を取得した。同プロジェクトには、NTTグループのデジタル基盤「街づくりDTC(Digital Twin Computing)」が活用されている。今回の認証取得は、NTTが推進するSustainable Smart City Partner Program(SSPP)の取り組みの一環であり、NTTデータ経営研究所が「ひと中心の持続可能な地域づくり」の観点から認証取得を包括的に支援した。

スマートシティに関するISO規格(*)は、スマートシティとして広く認知されている世界の都市において取得が進んでいる。一例として、WCCD(世界都市データ協議会)が認証機関の「ISO37120」は、都市で生み出されるデータを基にして、その都市のパフォーマンス(成績)をどれだけ可視化できているかを評価する仕組みであり、スマートシティとして有名なバルセロナやアムステルダムなどを含めて、世界で100以上の都市が取得している。日本では、2021年10月に岡山県倉敷市が初めて認証取得している。

NTTアーバンソリューションズが取得した「ISO37106」の認証機関はBSI(英国規格協会)。都市をスマートシティ化する際のあるべき開発・運用の進め方(ベストプラクティス)を提示しており、それに対して都市の開発や運用の進め方がどれだけ対応できているかというプロセスを評価・認証する規格だ。認証を取得した都市は、国際的に認められた公正な指標によるスマートシティ化を進めていると外部から認知され、都市の成熟度や今後の成長可能性を客観的に示すことができるため、投資家や企業からの投資誘致につながる可能性が高まると期待される。

ひと中心、データドリブン、コラボレーションがポイント

ISO37106では、スマートシティおよびコミュニティのリーダーが、持続可能な未来へのビジョン(Visionary)、ひと中心(Citizen-centric)、デジタル活用(Digital)、オープンで協調的(Open and collaborative)の4要素を提供原則に、スマート運営モデルを開発・運営するために取り組むべきガバナンス、プライバシー管理、便益実現フレームワークなどのベストプラクティスが提示されており、それらへの対応度合いが評価される。東桜街区プロジェクトの評価において、ISO37106に対応したポイントは下記の通りだ。

  • ひと中心:多様な空間の選択と快適に過ごすことを支える個々のICT技術とワンストップのユーザーインターフェースである「まちアプリ」によって、ウェルビーイング・ストレスフリーな働き方・過ごし方を実現。
  • データドリブン:ビル内のデータを収集するデータプラットフォームの導入によって、街区全体で分野横断のデータ利活用による街づくりの全体最適化に取り組んだデータドリブンな街づくりを実現。
  • コラボレーション:異なる業種業態のユーザーとの交流を促す低層階のラウンジと「デジタルコミュニティマネージャー」によるオープンイノベーションを促進。

さらに、街区内においてテナント・ワーカーからのフィードバックを受けることで、運営・サービスをより快適な働き方・過ごし方につなげるPDCAを回すとともに、他地区におけるプロジェクトへの展開とフィードバックによって相互にアップデートできる仕組みを構築したことが評価された。

NTTアーバンソリューションズは、ISO37106認証取得を契機として、東桜街区プロジェクトで得られた知見・ノウハウを全国の街づくりに活用していく。認証取得の支援を担ったNTTデータ経営研究所は、世界標準に基づくサステナブルでウェルビーイング(Well-being)なスマートシティづくりを目指す全国の自治体や企業に対して、ISO37106を活用した、ひと中心の街づくりのコンサルティング支援を実施していく。

なお、ISO37106の認証において、スマートシティの戦略策定および管理運用のプロセスを評価するために要求される項目は、提供原則、主要な都市横断提供プロセス、便益実現戦略、リスクマネジメントの4つの大項目と小項目で構成されている(**)。認証の要求項目に対応するためには、明確なビジョンを提示した上で、デジタル技術を活用し、街づくりのステークホルダー間の合意形成の促進、縦割り構造を超えた横連携の組織づくり、人間中心型のサービス提供を進めていくことが必要であり、得られたデータを活用してサービスのPDCAサイクルを回し、持続的にまちを発展していく運営体制を構築していることが求められる。

 

(注)スマートシティに関する国際規格(*)、ISO37106の要求項目(**)については、月次レポート「インフラ・グリーン・デジタル投資動向」(2022年3月)に収録します。

InfraBiz
関連サイト
NTTグループのウェブサイト
NTTデータ経営研究所のウェブサイト
BSI(英国規格協会)のウェブサイト
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