風力発電設備など38件の事故原因と再発防止策、経産省WGまとめ

風力発電や太陽光発電など、新エネルギー発電設備の事故原因究明や再発防止策を検討する経済産業省のワーキンググループ(新エネルギー発電設備事故対応・構造強度WG)は1月12日、8年間に起きた38件の集計結果を報告した。WGの審議の対象となった事故は、ほとんどが風力発電に関するものだ。事故の形態は、ブレードの折損・飛散22件、火災7件、ナセル等落下5件、タワーの倒壊・座屈4件。原因が不明だった事故もある。

落雷や台風、想定以上の強風で起きた事故が多いが、保守管理の不備に起因するものも少なくない。兵庫県淡路市で発電停止中の風車が2018年に倒壊した事故(下記一覧の24)は、電源の供給が途絶えていたことが原因だ。これによって風車が制御不能となり、台風によって倒壊した。2020年に鳥取県琴浦町の東伯風力発電所で起きたブレード破損・飛散(33)は、点検で補修が必要と判定していたものの運転を継続し、強風によって事故に至った。

2021年に山形県酒田市のJRE酒田風力発電所で起きた火災(37)は、長期間運転するなかで塩分・粉塵が端子台と周辺に蓄積し、脆化によるひび割れも発生。複数の微少な地絡電流をきっかけに、電源ケーブルに過大な電流が流れて火災が発生したと推定している。鹿児島県南大隅町の南九州ウィンド・パワー根占発電所で2014年に見つかったタワーの変状(13)は原因不明。太陽光発電設備では唯一、2019年に千葉県市原市の山倉水上メガソーラー発電所で起きた、台風によるパネルの流出破損、火災事故(32)を収録している。

WGはこうした分析を基に再発防止策を類型化した。落雷によるブレード破損は落雷検出装置によって風車を停止する、制御盤内の整備不良に起因する火災は適切な絶縁抵抗を測定・点検する、自動消火装置を設置する――などの対策を示した。38件の再発防止策を含めた事故の一覧は、経産省のウェブサイトで見られる。

 

経済産業省「新エネ事故対応WGの審議対象及び水平展開ルールの明確化等について」

 

InfraBiz
関連サイト
38件の事故を収録した資料「新エネ事故対応WGの審議対象及び水平展開ルールの明確化等について」
経済産業省 新エネルギー発電設備事故対応・構造強度ワーキンググループのウェブサイト
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