太陽光発電事業に関する最近の主な投資・開発動向を整理する(2021年11月発表)。
2つのインフラファンドが太陽光発電所の取得を発表した。タカラレーベン・インフラ投資法人は、太陽光4物件(計40.5MW)を184億円で2021年12月に取得する。1MW当たりの平均取得価格は4.5億円。このうち30.6MWのLS千葉勝浦は価格ベースでポートフォリオの約20.9%を占め、新たな旗艦物件となる。FIT36円/kWhで価格は144.66億円、1MW当たり4.7億円。これで同投資法人の資産は42物件(計171MW) 、取得価格ベースで685億円になる。
ジャパン・インフラファンド投資法人は、太陽光11物件(計32.6MW)を121億円で2021年12月に取得する。九州電力管内の発電所が5件を占め、ポートフォリオの地域分散が進む。福岡田川(10.6MW、43.35億円)は同投資法人の最高額だ。11物件の1MW当たりの取得価格は2.0億~4.5億円。これで同投資法人の資産は36物件(計90MW)、取得価格ベースで317億円になる。
資金調達の動きとして、アイ・グリッド・ソリューションズは、伊藤忠商事などを引受先とした第三者割当増資によって16.86億円の資金調達を実施、累計46.86億円となる。伊藤忠商事とのアライアンスを強化し、次世代電力(VPP)事業を強化する。資金の一部で子会社VPP Japanの株式を取得して資本を増強し、今後の融資資金も併せて2024年までに1500施設、累計250MWの非FIT太陽光発電所建設を目指す。11月時点で、265施設の流通サービス施設に約54MWの自家消費型太陽光発電システムを建設・運営している。
ソネディックスグループ(ソネディックス・ジャパン)は、福島県郡山市にある45MWの太陽光発電所向けの融資に、福岡銀行をアレンジャーとした地方銀行8行とのシンジケートローン(協調融資)によって187億円超を借り入れた。同発電所はソネディックスが2017年初頭に開発段階で買収したもので、2024年初頭に商業運転開始予定だ。
蓄電池併用の再エネアグリゲーションやオフサイトコーポレートPPA
太陽光発電を生かしたサービス提供・高度化の動きとして、ジャパン・リニューアブル・エナジー(JRE)は、同社初の蓄電池併設型太陽光発電所「JRE稲敷蒲ヶ山太陽光発電所」(茨城県)の建設を開始した。大型蓄電システムの導入や電力取引の最適化システムの活用によって、電力供給時間帯のシフト、電力需給のインバランス回避、予測技術の高度化などを実証する。富士アイティの設計・調達・建設によって、太陽光発電設備にTesla社の大型蓄電システム Megapack を併設する。東芝ネクストクラフトベルケ(TNK)が提供する再エネアグリゲーションシステム(複数の電源を束ねて発電量や市場価格を予測しながら最適制御するシステム)を活用することで、インバランスを回避して最適な電力取引を目指す。JRE は 100%子会社のJREトレーディングの協力のもと、再エネアグリゲーションシステムを運用する。
エネルギーサービス事業者のLooopは、オフサイトコーポレートPPA対応の太陽光発電所設置サービスを開始し、その第一号として、中部電力ミライズが東海理化に提供する太陽光発電所(長野県)のEPC(設計・調達・施工)の受注を中部電力ミライズと合意した。オフサイトコーポレートPPAは、企業の敷地から離れた場所にある発電所から、送配電ネットワークを経由して企業に電力を供給する仕組み。
東急パワーサプライと東急バスは、東京都世田谷区が保有する「みうら太陽光発電所」の電力によって、国内初となるバス停留所のCO2フリー化を図る。東急パワーサプライは、みうら太陽光発電所由来の電力と非化石証書の組み合わせで、バス停留所以外にも、複合施設の二子玉川ライズ、五島美術館に再エネ100%の電力を供給する。東急バスは再エネ電力を50カ所のバス停留所で使用してCO2フリー化を実現する。
東京海上日動火災保険は、太陽光PPA事業者向けに、発電設備の損壊リスクや管理に起因する賠償責任リスク、需要家(太陽光発電設備を利用する法人)の倒産リスク等を包括的に補償する「太陽光PPA事業者向けパッケージ保険」の提供を開始した。
図表■太陽光発電事業に関する主な投資・開発動向(2021年11月)