内閣府地方創生推進事務局はこのほど、スーパーシティの公募に応じた31団体へのヒアリング結果を公表した。結果について、コンセプトや制度設計、選定基準などを検討する国家戦略特区ワーキンググループ(八田達夫座長)は、「大胆な規制改革の提案が乏しい」「複数分野での規制改革を一体的に行う仕組みの設計も不十分」「補助金申請と混同している印象のものが少なくい」などと講評。そのうえで指定対象になる条件を、①岩盤規制改革、②とりわけ住民合意を経ることで実現が期待できる大胆な規制改革――と示した。ワーキンググループは、自治体に提案内容の見直しを求め、2次ヒアリングを行う方針だ。今夏との報道もあった採択時期については、見通しが立っていない。
提案のあった先端的サービスを、行政手続き、移動、物流、観光、医療・介護、教育、防災、エネルギー・環境、支払い――に分類したところ、移動が30、医療・介護29、防災25の順で多かった。国家戦略特区の基本方針は、スーパーシティ区域の指定基準の目安を概ね5分野以上の先端的サービスとしている。9分野のうち全分野に該当したのは、会津若松市と石垣市だ。インフラ関連の規制改革の主な提案は以下の通りだ。
- 松本市:低圧の再エネ電源も配電系統に接続できるよう、緊急時バイパス電線の平時使用を拡大する(電気事業法)/仮想発電所(VPP)による再エネ推進と異周波数エリア間の電力融通のため蓄電池からの売電と電気自動車から建物への出力制限を緩和する(再エネ特措法)
- 愛知県・常滑市共同:「空飛ぶクルマ」の飛行試験実施の迅速化のため、飛行試験の都度許可を要しない、新たな(包括的な)認定制度等の創設等空法)
- 高松市:複数の公共交通機関の運賃等の一元管理のための手続迅速化・簡素(独占禁止法、独占禁止法特例法、鉄道事業法等)
- 熊本県・人吉市共同:大容量蓄電池を活用したエネルギーマネジメント事業について、蓄電池から系統線への逆潮流等を認める(電気事業法施行規則等)
- 石垣市:民間事業者による上下水道の一体的管理運営のため公共下水道の管理主体の緩和(下水道法等)