水道施設更新に小水力発電FIT、人口259人の富山県笹川地区で深松組

深松組(仙台市)は、人口259人、世帯数100余りの富山県朝日町笹川地区に小規模水力発電所を建設し、FIT(固定価格買取制度)の売電収入を老朽化した水道施設の更新費用に充てる事業スキームを考案した。4月26日に起工式を開催した。

小水力発電のイメージ (出所)深松組

 

水道施設の更新には約3億円かかるが、過疎化で費用が捻出できず集落の存続が危ぶまれていた。小水力発電のFITで資金が生まれ、水道が更新できる。事業の継続性を確保するため、信託方式を採用。万一、深松組が倒産した場合でも水道が供給できるようにした。発電所は地元住民で構成する一般社団法人が運営し、地域の雇用創出につなげる。発電所の建設資金の一部は北陸銀行が融資し、朝日町は水道工事の費用の約3割を補助金で負担する。発電所の稼働は2023年秋、水道改良工事の完成は2024年度の予定だ。

信託事業のスキーム (出所)深松組

発電機の定格出力は約199kW、年間発電量は約1370MWh。縦軸フランシス水車を使う。河川の渇水時や増水時に水車が停止することはあるが、理論上は1年間を通して稼働する見通しだ。

深松組は従業員数122人。1925年に朝日町で水力発電所の建設を主な事業として創業したことから、地域の窮状を知って持続可能な事業スキームを考案した。同社は小水力発電事業のほかにも、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー発電事業を全国で手掛けている。

<発電計画の概要>
・定格出力:199kW
・年間発電量:約1370MWh
・流域面積:6.7km2
・総落差:78m(取水位172m、放水位94m)
・導水距離:979m
・最大使用水量:0.37m3/s
・予想設備利用率:70%

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