洋上風力発電の進捗状況(更新9)――青森県沖南側と遊佐町沖を促進区域、酒田市沖を有望区域に追加

国内の洋上風力発電事業における各海域の進捗状況について、最新動向(主に2023年7月~10月3日)を整理する。

(1) 経済産業省と国土交通省は10月、再エネ海域利用法に基づく再エネ海域で、「有望区域」だった青森県沖日本海(南側)山形県遊佐町沖を「促進区域」に、山形県酒田市沖を「有望区域」に追加。北海道岩宇・南後志地区沖(浮体)北海道島牧沖(浮体)を「準備段階」に整理した。その結果、再エネ海域利用法に基づく指定・整理は、事業者選定済みの促進区域が4区域、事業者選定中の促進区域が4区域、事業者公募前の促進区域が2区域、有望区域が9区域、準備段階が8区域となった。

(2) セントラル方式による調査対象区域の選定について、2023年度から2年間をかけて調査(風況や海底地盤に関する調査)実施中の北海道岩宇・南後志地区沖北海道島牧沖北海道檜山沖に加えて、2024年度からの調査対象として10月、北海道岩宇・南後志地区沖(浮体)北海道島牧沖(浮体)山形県酒田市沖が選定された。

(3) NEDOのグリーンイノベーション基金フェーズ2(浮体式実証)の実施区域に10月、北海道石狩市浜益沖北海道岩宇・南後志地区沖秋田県南部沖愛知県田原市・豊橋市沖が選定された。

(4) 環境省の「洋上風力発電の環境影響評価制度の最適な在り方に関する検討会」は8月、洋上風力発電事業の日本版セントラル方式の一環として、環境アセスメント制度について、

  • 事業者選定前の早期段階から国(環境省)自らが関心を有する者・地域から幅広い情報・知見を収集し、環境アセスメントの方法をあらかじめ確定した上で現地調査を実施し、調査結果を再エネ海域利用法に基づく区域選定の検討や選定事業者が立案する事業計画に反映させることによって、効果的・効率的な環境配慮を確保する仕組み。
  • 洋上風力発電の環境影響の不確実性に対応するため、工事中と稼働段階においてモニタリングを実施して必要な対応を確保するとともに、科学的知見の充実を図ることで将来にわたって国全体の総体的な環境負荷を下げ、長期的な視野で洋上風力発電事業全体の環境配慮を適切に図っていく仕組み。

――とすることを提言した。今後、国は必要な法整備の検討を含め、新制度の早期実現に向けて取り組んでいく。

(5) 再エネ海域利用法に基づく下記の再エネ海域で、計画段階環境配慮書(配慮書)が経済産業省や関係自治体に送付された。環境影響評価方法書(方法書)が送付された事業で、事業者が追加、計画出力が増加されている区域もある。

  • 青森県沖日本海(南側):9月、青森県つがる市・鯵ヶ沢町沖洋上風力発電事業、青森南洋上風力開発合同会社、方法書送付。
  • 秋田県男鹿市・潟上市・秋田市沖:7月、男鹿市、潟上市及び秋田市沖洋上風力発電事業、JERA・Jパワー(電源開発)・伊藤忠商事・東北電力、方法書送付。
  • 千葉県いすみ市沖:8月、千葉県いすみ市沖洋上風力発電事業、東京電力リニューアブルパワー、配慮書送付。

再エネ海域の進捗状況

(出所)経済産業省のウェブサイトを基に作成

なお、各海域における情報(本記事の内容や最新の関係事業者名、最大計画容量を含む)を整理した一覧表「各海域の進捗状況と計画・実施事業の設備容量(更新9)」は、月次レポート「インフラ・グリーン・デジタル投資動向 2023年10月」に収録しています。

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