カナダのケベック州貯蓄投資公庫(CDPQ)が2021年4月、IFM Global Infrastructure Fund(IFM GIF)から米国インディアナ有料道路(ITR)の株式15%の持ち分を取得した。取引完了後も、IFM GIFは引き続き、インディアナ有料道路コンセッション会社(ITRCC)の70%以上を保有する。残りは、10%をカリフォルニア州職員退職年金(CalPERS)、その他を保険会社のAllstateが保有している。
インディアナ有料道路は、インディアナ州北部を走る252 kmの高速道路。2つの有料道路(東のオハイオターンパイクと西のシカゴスカイウェイ)に直接つながっている。2006年にスペインCintraと豪州MacquarieからなるITRCCが75年のコンセッションをインディアナ州財務局(IFA)から38億ドルで獲得した。しかし、2014年9月にITRCCが経営破綻。IFAは2015年3月、IFM Investorsに新たに57億2500万ドルで66年間のリース・コンセッションを与えた。売却資金のほぼすべては、ITRCCに対する債権者への返済に使用された。その後、2016年5月には、CalPERSとAllstateが 10%余りの持ち分を取得した。
これまでの契約・取引の経過は下記の通り。
- 2006年6月 インディアナ州財務局(IFA)とインディアナ有料道路コンセッション会社(ITRCC)が75年コンセッション契約、事業費:38億ドル(出資7.48億ドル、借入30.52億ドル)、ITRCCの構成:Cintra(50%)、Macquarie(50%)
- 2014年9月 コンセッション会社破綻
- 2015年3月 IFAとITRCCが66年コンセッション契約、事業費:57.25億ドル(出資22.25億ドル、借入35億ドル)。ITRCC の構成:IFM GIF(100%)
- 2016年5月 CalPERSとAllstateがIFM GIFの持ち分10%強を取得
- 2021年4月 CDPQがIFM GIFからIFM GIFの持ち分15%を取得。取引後の出資比率は、IFM GIF:70%以上、CDPQ:15%、CalPERS:10%、Allstate:5%未満
なお、IFM GIFの親会社であるIFM Investorsは、豪州の年金基金グループ(年金基金、政府系ファンド、保険会社など)で構成されており、資産は1550億AUD(2021年3月時点)。主な資産クラスは、債券(468億AUD)、インフラストラクチャ(689億AUD)、上場株式(383億AUD)、非上場株式(12億AUD)。メルボルン、ニューヨーク、ロンドン、シドニー、ベルリン、東京、香港、ソウル、チューリッヒ、アムステルダムを拠点に事業展開。
一方、ケベック州貯蓄投資公庫(CDPQ)は、退職・保険プランの資金を管理する投資グループ。資産は3655億CAD (2020年12月時点)。主な資産クラスは、株式(1823億CAD)、債券(1102億CAD)、現物資産(672億CAD)。